手漉き和紙職人 林伸次さん

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林伸次さんにお会いするために京都府綾部市の黒谷へ行ってきました。

現在黒谷では本格的に活動されている手漉き和紙職人さんは5人ほどしかいらっしゃいません。

その背景には後継者不足、和紙の需要低下などの様々な問題があります。

その中でも唯一、林伸次さんは黒谷を代表する数少ない紙漉き職人さんであります。

今回、日ごろ行われている紙漉きの工程についても見学させていただくことができました。

 

黒谷は京都の北側に位置し、冬場はとても気温の低い地域です。

特に冷え込みの激しい昨日は、市内からやって来た私たちにとって立っているだけで凍えてしまうほど。

ですが、このような気候こそが和紙の原料となる楮や紙漉きに適しています。

 

そんな寒さの中で黙々と作業をされる林さんにお話をお伺いしました。

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まず和紙を作るための主な作業過程について、皆さまご存じですか?

 

①煮ごしらえ(原料となる楮を水につけて柔らかくする)→②楮を煮る→③見出し(水洗いしごみをとる)→④紙たたき(繊維をたたきほぐす)→⑤ビーター(水とたたいた楮をビーターという機械に入れてどろどろの紙素にする→⑥紙漉き→⑦押し(漉き重ねたモノをプレスして水を絞る)→⑧乾燥→⑨選別(紙の重量・出来ばえをチェック)

 

和紙はこれらの過程を経て作り上げられます。

 

主に紙を漉くという作業については認知されている方が多いと思いますが、実際漉き上がるまでにはとてつもない時間と労力を必要とします。

そして、これらの過程なくして和紙を漉くことはできません。

 

すべての作業工程をまとめると約一ヶ月ほどの長い期間を必要としますが、黒谷ではそれぞれの作業は日ごとにまとめて行われています。

今回は作業工程の中でも過酷な和紙の見出し作業について見学させていただきました。

 

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水中に和紙の原料となる楮をさらしながら目に見える塵やゴミを丁寧に一つ一つ取り除く。

冬場は凍える寒さと息を呑むほどの水の冷たさの中で作業が進められます。

 

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何度も何度もその繰り返し。

実際の見出し作業は①荒見出し(大きなゴミ取り)と②本見出し(細かなゴミ取り)の2回の工程で行われています。

そして積み上げられた楮の固まりが5束程で約80枚というわずかな和紙しか漉き上がりません。(※和紙の厚みにより数量は変わります。)

とても根気のいる地道な作業です。

けれど大変なこのひと手間によってより美しい和紙を漉くことができるのだそう。

また、高温により水に雑菌が沸きやすく傷みやすい夏場に比べて、冬場の澄んだ水では不純物を含まない美しい和紙が漉けるのです。

だからこそ寒い冬が嫌だという人は紙漉き職人とは言えません!とはっきり言い切る林さんの職人魂を垣間見た瞬間でした…

 

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ただキレイな和紙が良いものというだけではなくて、塵が混ざっていてもそれはそれで味のある和紙が漉けるのだとか。

そのため塵となる残りの原料も一切無駄にはしません。

森林を伐採して作る紙とは違って環境にも優しいですよね。

 

ようやく1回目の荒見出しが終了です↓ ひゃぁ〜(@_@;)

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四季折々の気候の変化によっても出来上がる和紙の質が変わるため、その時々に応じて和紙の漉き方も変えているとのこと。

そうなると漉く職人さんの技術によっても出来上がる紙質は随分違ってきます。

このあたりは機械漉きの和紙では補うことができない手漉きならではの良さであると納得です。

 

その時々に求められる用途に応じてきめ細やかな美しさや厚みを考えて和紙を漉くのだという林さん。

ARATAの和紙アクセサリーも厚みや丈夫さを事前に相談して漉いていただいたものを使用しているのですよ。

そうした技術によって出来上がる一枚一枚の和紙への驚きを隠せません!

 

しなやかで強い黒谷和紙。

林さんの作業を通して和紙に込める率直な意見や新たな思いを聞かせていただくことができました。

和紙に対する豊富な知識や技術もそうだけれど、長年携わってきた紙漉きに対する意識の深さ、考え方などとても奥深いです。

 

林さんの細やかな作業を通して出来上がる和紙をますます大切にしていきたいという思いが強くなったと同時に、私たちのモノづくりの背景を今後もしっかりお伝えしていきたいと再認識しました。

 

林さん、貴重なお時間をいただきましてありがとうございました(^ー^)!!

 

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